障子の美学。
ちょっと話は変わるのですが、建物の設計思想って西洋と東洋でだいぶ違うそうです(専門でないので、詳しく知りませんが)。
基本的に西洋の建物は、完成した時点での価値がピークで、それ以降はゆっくり価値が逓減していきます。
まあ、一般的な減価償却のモデルですね。
それに比べて、東洋の建物は必ずしも竣工した時点が価値のピークではなく、運用されていく中でさらに価値が高まるしくみがビルトインされているのだそうです。
端的なところでは、障子紙があります。
あれはいかにも繊細な装置ですし、完成したばっかりのまっさらな状態が価値のピークに見えます。
子供でもいたら、張り替えたその日に破られちゃいそうですよね。
(最近はそもそも障子のある家が少なくなりましたが) そこは手先の器用な日本人、家庭にはたいてい障子直しの上手なおばあちゃんがいて、花びら形の和紙なんかでメンテナンスしてくれました。
そうすると、まっさらな状態よりも「きれいになって」「価値が上がる」のだそうです。
これは、「あるしくみは、提供された状態がもっともよい状態」という昨今の考え方に染まっていると、ちょっとしたコロンブス的発想になります。
特にパソコンユlザは「W Indow sが汚れる」ってよく言いますよね。
パソコンは買ってきてすぐの状態のときはさくさく動いてくれますが、しばらくすると「なんか遅くなった」「急にブルースクリーンになって、見ているこっちまで青くなった」とかいろいろ調子の悪い部分が出てきます。
これは、ソフトウェアのインストール(組み込み)やアンインストール(取り外し)を繰り返すことによって、Windows上に余計な情報がたまっていくことなどが原因で起こります。
Windowsが悪いみたいに言われますけど、取り外しのときに、きちんときれいにして去ってくれないソフトウェアが多いんですよね。
そこで、パソコン好きは「今日はちょっと時間が空いたから、window sを再インストールしょうかな」なんて言い出すわけです。
要するに買ったときの状態に戻すわけで、こではすでに「初期状態=最善」という等式が成立しています。